デン・ハーグにあるエッシャー美術館(Escher in Het Paleis)は、オランダが誇るグラフィックアーティスト、エッシャーの美術館です。
エッシャー美術館の見所
エッシャーについて
オランダ人画家のマウリッツ・コルネリス・エッシャー(Maurits Cornelis Escher:1898-1972)は、美術の教科書で目にしたことある、階段を登り続ける絵を描いた人です。
建築不可能な構造物や、無限を有限のなかに閉じ込めたもの、平面を次々と変化するパターンで埋め尽くしたもの、など非常に独創的な作品を創作しています。
オランダ生まれのエッシャーですが、結婚後はイタリアやスイス、ベルギーに住んでみたりもし、最終的にはオランダに戻ってきたのですが、あちこちへと旅をすることで創作意欲を得ていたようで、旅行も頻繁にしていました。
初期のエッシャーの作品は知られておらず、自然や風景画などだったようです。
エッシャーが37歳頃、旅先のスペインのアルハンブラ宮殿で、ムーア人のモザイク装飾にインスピレーションを受け、そこから作風は一変します。
モザイク装飾に深い感銘を受けてからエッシャーの作風は、トロンプ・ルイユ(だまし絵)のような錯視を利用したものから、幾何学的・数学的・工学的なアプローチを使ったバリエーションへと変化していきました。
視覚の魔術師
数学的なのに現実的ではない異様な作風は、見る人を虜にし、取り憑かれたように長い時間かけて鑑賞する人が続出しました。
その様子が異様で、鑑賞してる人からはラリってるんじゃないかと思われたり、エッシャーの作品事態にマリファナが使われたり、魔法がかけられているのではないかと噂がたったほどです。
エッシャーの生み出した視覚の魔術は世界中に広まり、アメリカで講演を行ったり、抗議の依頼で引っ張りだことなりましたが、晩年は病気で入退院を繰り返し、癌の手術を10回行ったそうです。
エッシャー美術館の概要
3階立ての館内は、1・2階にエッシャーのだまし絵や彫刻が展示され、3階はアトラクション的な体験型の展示室となっています。
遠近法や透視法を現実に用いたエッシャーの世界を垣間見ることができます。
エッシャー美術館の建物は、1760年に当時の知事の家として建てられましたが、その後は伯爵が住んだり、19世紀後半には王家が買取りランヘ・フォールハウト宮殿と呼ばれる王室の所有の別荘でした。
20世紀後半に自治体の所有物となりエッシャー美術館が開館しましたが、それまでは別荘宮殿であっただけあり、建物は品がある造りになっています。
建物内の中央階段にある大きなシャンデリアはハンス・ファン ベンテムがエッシャー美術館のために特別にデザインしたものです。
その他の展示室にも彼の見事なシャンデリアがいくつか展示されています。
11〜17時(月曜休館)
€9.50
ミュージアムカード 不可
Lange Voorhout 74, 2514 EH Den Haag, オランダ
escherinhetpaleis.nl/