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【ヨーロッパ史】始まりの「ユダ」からユダヤを学ぼう

オランダの歴史
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今月はヨーロッパの歴史にたびたび登場する「ユダヤ」について勉強しています。

主にインターネットでの文献等を参考にしているので、諸説あったり、誤った認識などもあるかもしれない旨をご了承ください。

ざっくり割愛してまとめているので、より詳しく学びたい場合は書籍などをご利用ください。


「ユダヤ」の世界史: 一神教の誕生から民族国家の建設まで

 

 

 

「ユダヤ」の始まり

「ユダヤ」の始まりは紀元前までさかのぼり3000年以上もの長い歴史があります。

 

「ユダヤ」の歴史を探るキーワードが次の7つの「ユダ」です。

  • ユダ(Judas)
  • ユダ族(Judah)
  • ユダ王国(Kingdom of Judah)
  • ユダヤ教(Judaism)
  • ユダヤ人(Jew)
  • ユダヤ戦争(Jewish War)
  • ユダヤ人離散(Jewish diaspora)

 

それぞれの「ユダ」を学びながら、その起源からオランダに港町が誕生する13世紀までのユダヤの歴史をまとめました。

 

 

 

ユダ(Judas)

オラース・ヴェルネ, Public domain, via Wikimedia Commons

ユダは古代イスラエルの12氏族の一つであるユダ族のとされています。

ユダは旧約聖書の創世記では、ヨセフの殺害に反対する発言をし、ベンジャミンを倒すというヨセフの要求について父親と交渉するなど、10人兄弟の間で指導的役割を担っていると描かれている存在です。

父親のヤコブは創世記に登場するヘブライ人の族長で、ヤコブの別名をイスラエルといい、イスラエルの民すなわちユダヤの民はみなヤコブの子孫であるとされています。

 

またユダとは万物の創造者ヤハウェに感謝するという意味があります。

 

 

ユダ族(Judah)

ユダ族は古代イスラエル王国を構成していた12氏族のうちの一氏族で、ユダを祖としています。

(12氏族:ルベン族、シメオン族、ユダ族、ダン族、ナフタリ族、ガド族、アシェル族、イッサカル族、ゼブルン族、ベニヤミン族、エフライム族、マナセ族)

ユダ族が居住していた地域は、旧約聖書の時代にはユダ、新約聖書の時代にはユダヤとよばれ、のちにユダヤ人、ユダヤ教という名称が付けられたとされています。

ユダ族は紀元前1000年ごろには推定500万人だったとされ、ある統計では当時の世界人口は約5000万人とされているので、世界の10分の1がユダ族だった事になります。ちなみにそのころ縄文時代だった日本列島の人口は推定で十数万人だったそうです。

 

 

 

 

 

ユダ王国(Kingdom of Judah)

ユダ王国は紀元前10世紀から紀元前6世紀にかけて古代イスラエルに存在した王国で、首都はエルサレムでした。

もともとあった古代イスラエル王国が南北に分裂し、南側がユダ王国となりました。

ユダ王国の初代君主レハベアム王は、古代イスラエル王国の王家の継承者でした。

建国:
ダビデ王によって統一された古代イスラエル王国は、3代目国王ソロモンの死後に王家の支配から逃れるために独立した北のイスラエル王国と、王家の血を継承するレハベアム王に忠誠を誓う南のユダ王国へと国が分裂しました。南のユダ王国はユダ族とベニヤミン族から構成されており、北のイスラエル王国はそれ以外の10氏族からなったとされています。

滅亡:
ユダ王国建国から約344年後に首都エルサレムとエルサレム神殿が破壊され、ユダ王国は滅亡し多くの国民が捕虜として囚われます。彼らはユダ王国の遺民という意味でユダヤ人と呼ばれました。

のちに捕囚のユダヤ人は解放されてエルサレムに帰還し復興します。ユダヤ教の教義もこのころに確立されたとされています。

 

 

ユダヤ教(Judaism)

ユダヤ教万物の創造者ヤハウェを神とし、信仰の始祖アブラハムの子孫であるユダヤ人に伝えられたヘブライ語聖書を教えとする宗教です。

21世紀初頭においてユダヤ教徒が多数を占めている国家はイスラエル国のみであり、人口の約75%がユダヤ教徒です。(2014年統計)

その他の国ではユダヤ教徒の割合が2%を超える国は存在していませんが、ヨーロッパには古くからユダヤ人のコミュニティがあり、現代においても各国ごとに数万人から数十万人のユダヤ教徒が存在しています。

 

 

 

 

ユダヤ人(Jew)

かつて(紀元前600年頃)はユダ王国の遺民の事をユダヤ人と称されていましたが、現代でいうユダヤ人とはユダヤ人の母親から生まれた者、あるいは正式な手続きを経てユダヤ教に入信した者と規定されています。

「ユダヤ人はユダヤ教を信仰する人々である」という定義は古代・中世にはあてはまっていましたが、近代以降ではユダヤ教徒の家系でキリスト教に改宗した人々無神論者も「ユダヤ人」とみなされることがあるそうです。

なおイスラエル国内においてユダヤ教を信仰していない者は、Israeli(イスラエル人)呼ばれています。

 

またユダヤ人社会内やイスラエル国内においてはユダヤ人の母を持つ者」をユダヤ人と呼ぶのに対し、ヨーロッパなどでは母親がユダヤ人でなくともユダヤ人の血統を持った者もユダヤ人として呼ぶことがあります。(たとえば母親が非ユダヤ人で父親がユダヤ人という場合)

 

イエスに従った使徒もユダヤ人であったにもかかわらず、キリストはユダヤ人によって十字架にかけられたという俗説が古代から中世にかけて流布し、それまで「神に選ばれた選民」だったユダヤ人は一転して「神(イエス)を殺した賎民」と差別されるようになりました。

こうした宗教的な理由の他に、ユダヤ人はキリスト教社会で疎まれていた金貸しが多かったという歴史的背景もあり被差別民でありながら裕福になったユダヤ人は妬まれ、迫害はますます強まっていきました。

 

 

 

ユダヤ戦争(Jewish War)

ユダヤ戦争は紀元66年から73年までローマ帝国とユダヤ人との間で行われた戦争です。ユダヤ人はローマ帝国に対し反乱を起しますが、鎮圧されてしまい、ユダヤ人による自治は完全に廃止され厳しい民族的弾圧を受ける事になります。

132年にバル・コクバの乱を起こし、これまた鎮圧され、ユダヤ人の自称である「イスラエル」という名称と「ユダヤ属州」という地名も廃止され、かつて古代イスラエル人の敵であったペリシテ人に由来するパレスチナという地名があえられました。また同時にユダヤ人はエルサレムへの立ち入りを禁じられ、多くのユダヤ人がヨーロッパを中心に世界各国へ移住していきました。以来ユダヤ人は1700年以上にわたり民族集団を持つことが叶いませんでした。

移住せずパレスチナの地に残ったユダヤ人の子孫の多くは、ユダヤ民族としての独自性を失い、のちにはアラブ人の支配下でイスラム教徒として同化し、いわゆる現在のパレスチナ人になったと考えられています。

 

 

ユダヤ人離散(Jewish diaspora)

136年にエルサレムへの立ち入りを禁じられ多くのユダヤ人が世界各国へと移住しました。その後各地に定住しながらもユダヤ人はユダヤ教の信仰を堅持し続けます。

 

700年頃からヨーロッパのキリスト教にて「キリスト殺し」の罪という根拠のない噂を背負わされたユダヤ人は迫害を受けるようになります。

ユダヤ人は土地所有を禁じられ、さらに商工業組合に加入することもできなくなり、農業や商いで生計を立てることができなくなってしまいました。

時には追放処分を受け、住居も安定しないユダヤ人がつける仕事は消費者金融や旅商人などと印象の悪い職種しかありませんでした。

 

消費者金融、つまり金貸しがユダヤ人の生業となり、後にユダヤ人は「高利貸し」と呼ばれるようになってしまいます。被差別民でありながら裕福になったユダヤ人、今度は妬まれユダヤ人迫害がますます強まってしまいます。

 

アムステルダムが港町として栄え始めた13世紀頃には、キリスト教徒とユダヤ教徒との交際が禁止されるなど、ユダヤ人への迫害が一層強まり、社会不安が高まるごとにユダヤ人は迫害の対象とされていき、職の追放なども行われてきました。

 

 

 

 

 

今日のまとめ

お恥ずかしいことに、ユダ、そしてユダヤの歴史は全く知らなかった筆者です。自分で調べて書きながら「へ〜」を連発していました。

読者の方にも分かりやすいように、だいぶ割愛した部分も多いので、詳しく知りたい方は書籍の購入をお勧めします。

 

3000年前には世界の10分の1はユダヤの民だったとすれば、現代ではほとんどの人がユダヤの民と言っても過言ではなさそうです。

にも関わらず1000年前からはユダヤ人への迫害が始まり、その争いは現代でも続いています。

 

迫害の発端は「デマ」や「妬み」などと、昔も今もいじめの原因は変わらないのだなと感じます。

1000年も続いた迫害は、もはやどっちが悪いなどでは終わる事ができない、復讐と報復の倍倍返しの泥沼です。

書いててちょっと凹んでしまいましたが、来週はユダヤ人の迫害に焦点をあてて勉強したいと思います。

 

 

アムステルダムにはユダヤの歴史が学べるユダヤ歴史資料館があります。歴史というよりは、イスラエルに関係する展示が多いです。

ユダヤ歴史資料館 Joods Historisch Museum 概要(2023年)
営業時間:10〜17時
入場料:€18
ミュージアムカード:入館無料
住所:Nieuwe Amstelstraat 1, 1011 PL Amsterdam
URL:jck.nl