ミュージアム広場の北側にある国立美術館(Rijksmuseum)は、オランダ芸術と歴史の旅をコンセプトにし、中世・ルネッサンス期から20世紀までを網羅したコレクションを数多く保有するオランダ最大級の美術館です。
8000点にも及ぶコレクションにはレンブラント、フラン・ハルス、ヨハネス・フェルメールなどの巨匠の傑作も多く含まれています。
建物は建築家カイペルスによって設計され、1885年に開館しました。
美術館は2つの正方形で構成されており、各正方形の中心にアトリウム(吹抜けの大きな空間)があります。
美術館を分断するかのようにギャラリートンネル(遊歩道)が通っているのも特徴的です。
この国立美術館はニュータウンと旧市街の間にあるので、旧市街への入り口のゲート的な存在にもなっています。
アムステルダム国立美術博物館は1970年に国家遺産に認定されています。



国立美術館の歴史
国立美術館設立は18世紀末に遡ります。
1793年にフランスのルーブル美術館がオープンすると、人々が殺到し、ヨーロッパ中からルーブル美術館へと観光客が訪れたそうです。
ルーブル美術館が儲かっていることを知ったオランダ政府は、国益になると踏んで国立美術館設立を計画が始まりました。
1800年の5月、デン・ハーグのハウステンボス宮殿(Huis ten Bosch palace)に200点あまりの絵画が展示したのが初代国立美術館の開館となりました。
1805年には展示場はデン・ハーグ内のビネンホフ(Buitenhof)に移されました。
1806年にナポレオンの支配下となったオランダ。
国王ルイ・ボナパルトの命により、国立美術館はアムステルダムの王宮へと移転させられました。この時にアムステルダム市が保有していたコレクションも加わえられたそうです。



トリップ邸<photo credit: wikipedia>
ナポレオン皇帝が敗北し、オランダ王国を取り戻すと、国立美術館はアムステルダム市内の王立美術研究所トリップ邸(Trippenhuis)へと移設されました。
しかしトリップ邸では美術品の保管に適さなかったため、
価値の高い歴史的美術品はデン・ハーグのMauritshuis(マウリッツハイス王立美術館)へと、19世紀の絵画はハーレムの美術館へと移されています。


1885年カイペルスが設計した国立美術館<photo credit: Rijksdienst voor het Cultureel Erfgoed>
アムステルダムに正式な国立美術館を築くため1863年と1876年の2度に渡り設計コンペが開かれました。
2度目のコンペで見事受賞したのはオランダ建築家P.J.H.カイペルスです。
(カイペルスは後にアムステルダム中央駅の設計も手がけています。)
ゴシックとルネサンスの要素を組み合わせたデザインの国立美術館新設工事は早々に始まりました。
内部のインテリアに施される彫刻なども、その都度コンペ形式で採用されたそうです。
順調に進んだ工事ですが、その総工期は約9年の歳月が費やされ、
1885年7月13日にアムステルダム国立美術館はオープンしています。
増え続けるコレクションに合わせて開館後も増改築が繰り返され、その度に進化してきました。
1995年に民営へと委託された国立美術館は、歴史の一端を担う美術館としてさらなる進化を目指し、2004年より大規模な改修工事のため10年間閉鎖されています。
大規模改修工事にはスペイン設計事務所Cruz y Ortizが手がけており、古い物と新らしい物の融合をベースにデザインされました。
この時にアジアパビリオンが新たに建設されています。
2013年4月にリニューアルオープンした国立美術館。
その年の年間入場者数は220万人を超え、国内最大級の規模の美術館の地位を築き上げました。
時代と環境によって移転と進化を続けてきた国立美術館は、これからも変化し続けてくれそうです。
9〜17時
€17.50
ミュージアムカード可
Museumplein/Museumstraat 1, 1071 CJ Amsterdam, オランダ
Rijksmuseum Amsterdam