フランス南部に位置するカルカソンヌ (Carcassonne)。
小高い丘の上には二重の壁に守られた城塞都市シテ(Cité)があります。


<photo credit: 鳳山雑記帳アメブロ版>

古代ローマ時代には要塞都市の基盤ができあがり、中世に2つ目の壁が建設されて難攻不落の城塞都市ができあがりました。

欧州最古の城塞都市シテは「歴史的城塞都市カルカソンヌ」の名でユネスコの世界遺産に登録されています。
今でもシテには数十人の居住者がいます。




二重の城壁

城塞シテの中心部にはコンタル城があり、二重の城壁によって外敵から守られています。
全長3000mにも及ぶ二重の城壁には52個もの見晴らし塔が点在し、現在ヨーロッパにある城塞の中で最大規模となっています。

 

この地に城塞が築かれ、第一の壁ができたのは紀元前だそうです。

2つ目の城壁が作られたのは13世紀。
ルイ9世の命により、第二の壁が建造されました。

第二の壁により籠城可能な城塞となり、スペインとの国境紛争や百年戦争(内戦)にも耐えた最強の城塞となったことで戦火にさらされる事すらなくなっていきました。

17世紀にスペインとの戦争が終結する時に城塞シテは軍事力を失い、その後は兵器や食料の倉庫として使われ、戦火とは無縁の地となりました。


<photo credit: over 26 MILLION views Thanks Carcassonne seen from an airplane c.1921 LOC14614u via photopin (license)>
19世紀中頃には城塞シテの歴史的価値を維持するために修復工事が行われました。
しかしこの修復工事は物議を醸し出す出来となりました。

当時の名のある建築家ヴィオレ=ル=デュックは北フランスのお城の修復工事経験を基に修復工事を進めました。
そのため屋根の形や建材が北フランス風デザイン(石材のとんがり屋根)だったのです。

大国フランスでは地域によってデザインの趣きは大きく異なり、カルカソンヌのスタイルはタイル材の平屋根でした。
今でも残るとんがり屋根は建築家ヴィオレによるものです。
当時は非難轟々の大炎上ものだったようですが、今ではとんがり屋根の方がお城っぽさがあるからか観光客に好評で、天才的な建築家ヴィオレと称されています。



公妃カルカスの伝説

時は8世紀。
カール大帝(始祖的英雄)が城塞シテを包囲していました。
しかし難攻不落の城塞都市はそう易々と攻略できませんでした。

戦は5年にも及び、城塞シテの人々は戦どころではなく飢えとの戦へとなってきました。

長期に渡り籠城させることによって食料を尽きさせ、城内から落とすカール大帝の戦略はあと一歩の所まできています。
(漫画キングダムの鄴城に籠城する趙の民衆を桓騎軍が取り囲む状態です。)

当時の城塞シテを治めていた王様はすでに他界しており、公妃カルカスがシテの騎士団を統括していました。
カール大帝の戦略通り、シテ騎士団は餓死し諦めかけるシテ市民たち。
それでもなんとか凌ごうと、公妃カルカスは藁人形を兵士に見立て矢を放ち続け、まだまだ兵力があると虚勢を張っていました。

しかしついには城内に残された食料は豚一匹と麦一袋のみとなってしまう所まで追い詰められました。

あろうことか公妃カルカスは最後の麦を全て豚に与え、その豚を城壁の上から敵陣めがけて投げ落としました。
公妃カルカスの奇矯な行動に唖然とするシテ市民たち。

突然降ってきた豚に驚くカール大帝軍。
投げ落とされた豚のお腹は破裂し、中から大量の麦が出てきた事をカール大帝に報告します。

カール大帝は家畜に大量の食料を与えるほどの備えがまだあると勘違いし、また矢を打ち続ける兵力(藁人形)にも懸念を抱きます。
カール大帝はこれ以上包囲戦を続けても、城塞シテを攻略するのは不可能だと諦め撤退してしまうのです。

まさに知将カルカスの策略勝ちです。

カール大帝軍の撤収に歓喜するシテ市民。
公妃カルカス (Carcas)が勝利の鐘を鳴らします (sonner) 。

カルカスが鳴らす = Carcas sonner = カルカ ソンヌ

この戦の勝利により、この地がカルカソンヌと呼ばれました。

公妃カルカスは架空の人物だと云われており、この物語は伝説として伝わっています。
しかし8世紀頃に幾度となく戦が行われ城塞シテに籠城していた歴史はあるようです。

カルカスは伝説の守り神として城塞シテの入り口のナルボンヌ門にカルカスの石像が飾られています。



名物郷土料理カスレ

カルカソンヌには名物料理カスレ(cassoulet)があります。
ソーセージや鴨肉、豆などを長時間煮込んで作る郷土料理です。
煮込む土鍋の事をカソール(cassole)と呼ぶことから、料理名がカスレとなったとか。

カスレの発祥は戦時代。
篭城した市民が家庭に残っていた豆や雑穀、鳥獣肉などを持ち寄り大鍋に入れ煮込んだものがカスレのルーツになったと言われています。

もともとは闇鍋ですが、今では名物郷土料理となっており厳選された素材で提供するカスレのレストランがカルカソンヌには多くあります。




カルカソンヌと進撃の巨人

城塞シテの2重の壁から漫画”進撃の巨人”のウォールマリア、ウォールロゼが連想され、カルカソンヌがモデル舞台ではないのかという噂が存在します。

根拠のないただの噂ですが、進撃ファンには萌える場所でもあるかもしれません。
歴史的世界遺産ですので調査団ごっこできませんが、壁の向こう側を想像するエレンとアルミンごっこが可能です。(進撃に比べると壁は低いですが)

カルカソンヌの城塞はモンサンミシェルに継ぐフランス第二の人気観光スポットになっています。

Carcassonneへのアクセス
アムステルダムからフランス、パリへ(約1時間20分)
パリ市内リヨン駅から特急電車(約5時間半、乗換有)
Gare de Carcassonne下車




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