バルセロナ観光で欠かせないのがガウディ建築。ガウディの作品は建物の外観が美しいのが特徴的で、眺めるだけでも感動するアート的な建築物です。
全く知識がなくても見るだけでも楽しませてくれる建築ですが、ガウディのデザインについて知っておくと、ガウディの凄さをより感じることができます。
巨匠建築家アントニ・ガウディ
スペインを代表する巨匠建築家のアントニ・ガウディはバルセロナに多くの建築を残しています。
ガウディの有機的でユニークなデザインは唯一無二な作品といわれ、スペインでしか彼の作品を体感することはできません。
100年以上も前に建てられたガウディ建築は、現在では見ることができない芸術性価値が高く、工場生産では決して作ることのできない彫刻技術が用いられているのが特徴となっています。
1926年。70歳のガウディはバルセロナでも有名な建築家となっていましたが、身なりに気を使うことがないほどに設計とデザインの事に没頭していたそうです。考え事をしながら仕事に出かけたガウディは、メガネを忘れて外出してしまい路上で転倒。運悪く走ってた路面電車に引かれてしまいます。一命をとりとめたものの、身なりの汚さからホームレスと間違われて誰にも助けられる事なく手当が遅れてしまい3日後に亡くなったそうです。(満73歳没)
バルセロナのガウディ建築
バルセロナには多くのガウディ作品が健在しています。街中を歩いていて変な建物があると思ったらそれがガウディ建築だと思います。
必見のサグラダ・ファミリア
最も知られているガウディの代表作がサグラダ・ファミリアです。
サグラダ・ファミリアは1882年に工事が始まった大聖堂で、現在も工事が進行している未完成の建築です。ちなみにガウディの遺体はサグラダ・ファミリアに埋葬されています。
1882年の着工から完成までに300年かかる建築だと想定されていました。ですが技術の発展とともに予想よりも早く工事が進み、教会の内部が完成した2010年には正式なカトリック教会としてオープンしています。
建物は教会上部のタワー部分がまだ建設中ですが、2026年頃に完成すると見込まれています。
サグラダ・ファミリアは最高高さが170m以上と予定されている高層建築です。その巨大な建物には直線的な設計がありません。全てが曲線で構成されています。
そんな複雑な形状の巨大大聖堂を石を積み上げて作る予定だったため工期が300年と想定されていました。現在は3D建築技術が発達したことにより石造から鉄筋コンクリート造へと移行して建設が進められています。なので当初の予定よりは早く完成すると考えられています。
現在はサグラダ・ファミリアの建設に日本の大手建設会社や職人さんも関わっているそうです。彫刻家の外尾悦郎さんが主任彫刻家として建物を飾る彫刻の職人さんを統括しながら自らも手がけていらっしゃいます。
パンデミックの影響で完成が2026年よりは遅れるようですが、数年以内には最終形態を拝むことができそうです。
サグラダ・ファミリアの建設費は入場料金から補われています。多くの方が観光することで建設が加速する仕組みになっています。一般の教会の拝観料に比べると高い見学料金設定ですが、そのお陰でまもなく完成を見ることができるかと思います。
サグラダ・ファミリアの成長
筆者は2005年、2011年、2019年の3回にわたってサグラダ・ファミリアへと訪れました。
外観は大きくは変わりませんが、内装の変化は訪れるたびにグレードアップしているのを身をもって体感しました。
2005年の時は更地だった建物周辺の開発も進められており、隣接する敷地にサグラダ・ファミリアを眺めるための庭園、ガウディ広場とサグラダ・ファミリア広場の整備も進められているようです。
2005年の写真
2011年の写真
2019年の写真
バルセロナを一望できるグエル公園
バルセロナの街が一望できるグエル公園はもはや公園の概念では収まりきらないガウディの芸術作品です。公園というよりは野外美術館で彫刻を見る感覚になります。
「見どころはこれ」というよりも自分の好きな作品を探しながら散歩してみてください。公園とミュージアムの良いとこ取りのような空間です。
グエル公園からはバルセロナ市街とバレアス海まで一望することができます。青空と海と歴史ある街並みとモダンな近代建築、そしてサグラダ・ファミリアと、バルセロナの全部を拝むことができます。
また陽が沈むころにはバルセロナの街や海が夕焼け色に染まります。夕日は海とは反対側の山へと沈むので、昼と夜の間の美しい色合いを見ることができます。
スペインの住宅見学 カサ
スペイン語で「カサ」とは住宅のことを意味し、バルセロナで見逃せないカサは3つです。
カサ・ミラ
カサ・ビセンス
カサ・バトリョ
この3つのカサはガウディの代表する住宅建築で、世界で類を見ない変わった形状のアパートです。
カサ・ミラ
独特な曲線美を持つカサ・ミラはガウディが54歳の時にデザインした住宅で、1910年に建てられたアパートです。1984年に世界遺産に登録されました。
サグラダ・ファミリアと同じで直線的なデザインがない、曲線で設計された建物で、地中海の波をイメージしているそうです。
現在でも住人がいますが、一部はミュージアムになっており見学することができます。
カサ・ビセンス
初期作品で東欧やロシアっぽいデザインのカサ・ビセンスはガウディが31歳の時に初めて設計した個人住宅です。1889年に建てられて2005年に世界遺産に登録されました。
直線的なデザインですが、凝った装飾の数々が見どころです。現在はミュージアムになっており見学することができます。
カサ・バトリョ
ジブリにでてくる巨神兵みないな骨格のテラスがあるカサ・バトリョはもともとは1887年に建てられたアパートですが、1906年にガウディによってリフォームされました。2005年に世界遺産に登録されています。
カサ・バトリョは廃材を利用した装飾と、異世界のようなインテリアが特徴的です。現在はミュージアムになっており見学することができます。
カサシリーズは全てを見学したい名建築です。人気スポットなので常に大行列。当日券の購入は困難です。チケットの事前購入を購入をお勧めします。
ガウディ建築の特徴
ガウディが創り出すデザインのアイディアは自然界の生き物がモデルとされています。そのため独特な曲線が用いられていることが多く、直線的なモダンなデザインは初期作品のみとなっています。
そしてまたガウディが天才と云われる由縁は合理的な設計にあります。感性だけでデザインしているような芸術肌タイプに感じますが、建物の構造は合理的な力学にのっとっています。
物理的にも工学的にも計算された構造設計と、未だかつて誰も表現してこなかったオリジナルの芸術デザイン。これらがガウディがスゴイと言われている理由です。
音楽界の史上最強がベートーベンならば、建築界の史上最強はガウディといっても過言ではありません。実際に多くの建築家がガウディの影響を受けています。