12月6日は聖人ニコラウスの命日です。
聖ニコラウス(英名Saint Nicholas:シント・ニコーラース)は、4世紀頃に実在した人物で、サンタクロースの起源となった人物と言われています。
オランダではシンタクラース(蘭名:Sinterklaas)の名で親しまれています。
シンタクラースは毎年11月にオランダに訪れ、聖人ニコラウスの日までの約1ヶ月の間にオランダ各地を訪問し、12月6日に帰ります。
オランダではシンタクラースが帰る前日がシンタクラースの日(聖ニコラウスの日)で、12月5日にシンタクラースのお祝いを盛大にする文化があります。
シンタクラースとサンタクロース
一説では、シンタクラース(聖ニコラウス)はトルコからオランダへとやってきた子ども達に優しい司祭で、オランダ滞在中はアムステルダムに在住しており、その後スペインへと渡ったと云われています。
一方サンタクロースは、シンタクラースの話が起源になったとされています。
17世紀にオランダ人がマンハッタン島に入植し、その後ニューヨークはイギリスの植民地となります。イギリス文化とオランダ文化が広まる中で、シンタクラースの伝承も広まり、やがてサンタクロースと名前が変わっていったとされています。
オランダ北部ではシンタクラースの日に贈り物を送る風習が古くからあったことから、クリスマスにプレゼントを贈るいう概念が生まれたとも云われています。
白い祭服とサンタの赤い服
シンタクラースは立派な白髪とあごひげがあり、伝統的な白の祭服の上に赤いケープを羽織っています。
ただソリではなく白馬にまたがっていて、ズワルトピートと呼ばれる従者を連れているのが特徴です。
シンタクラースは大きな赤い本を持っており、これには子ども達の1年間の行いが記されているそうです。
良い子にはシンタクラースの日にプレゼントが届き、悪い子は袋に詰められてスペインへと連れ去られてしまうそうです。(ちょっと怖ろしいお話です。)
ちなみに誰もが思い描く赤い服を着たサンタクロースは、1931年のコカ・コーラ社の広告によって広まっていて、それ以前はイメージ像がバラバラだったそうです。
11月 シンタクラースのパレード
オランダではサンタクロースがやってくる1ヶ月以上前に、シンタクラースが蒸気船に乗ってスペインからオランダまでやってきます。(スペイン在住のシンタクラースが、年に1度オランダに帰ってくるとされています。)
毎年11月中旬にシンタクラースがオランダに到着したことを祝うパレードがオランダ各地で開催されます。
シンタクラースのパレードは11月11日以降の最初の土曜日(または日曜日)に開催されます。
アムステルダムのシンタクラース・パレード
アムステルダムのシンタクラース・パレードは、お昼前に運河パレード、そして午後に路上パレードの2部構成です。
楽しげな音楽とともに運河パレードが始まり、数隻の船がやってきます。
ルートは毎年変更があったりしますが、定番はアムステル川からマヘレの跳ね橋を通り、中央駅前の開運博物館やNEMO前までの運河パレードがあります。
運河パレードのために跳ね橋が上がるので、道路が通行止になったりで渋滞が各所で発生します。お急ぎの方にとっては厄介ですが、この日に限りシンタクラース優先となっています。
またゆっくりと運行するパレード船を追って、多くの子ども達とお父さんが走り回るので、路地はカオスとなりますが、運河の国ならではのパレードだと感じます。
午後には盛大な路上パレードが始まります。
以前は繁華街のど真ん中で開かれていましたが、最近は運河沿いからライツェ広場までのルートが定番化してきました。
パレードが始まる1時間くらい前から場所取りが始まって祭りモードが高まります。
パレード中はトラムも車も通行止めになり、これまたシンタクラース優先となります。
シンタクラースの登場が近づいてくると、袋を持ったズワルトピートたちがやってきて子供達にお菓子を配って周ります。
パレードを見に来た子ども達は、ビニール袋を持参しており、ズワルトピートからお菓子を受けとたら、ビニール袋に入れて持って帰っていました。
そしてパレードの最後尾に登城するのがシンタクラース。白馬に乗ってが登場すると、子ども達が大きな声で
「シンタクラース!」
と叫びます。
シンタクラースとハイタッチするのが子ども達のメインイベントのようで、みんな一斉に手を差し出してました。
シンタクラースが目の前にやってくると大はしゃぎな子どもたち。見ているだけでも楽しさを感じました。
シンタクラースやズワルトピートの衣装をまとったチビッコたちが街中を賑やかに駆けまわっている1日でした。
12月5日のお祝い
11月のオランダ到着から12月6日までの間、シンタクラースは学校や病院を慰問します。そして12月6日のシンタクラースの日にスペインに帰るそうです。
シンタクラースの日は12月6日なのですが、この日はシンタクラースは帰路についてしまうので、その前日の12月5日にシンタクラースのお祝いをします。
多くのオランダ人が、5日の日に家族で一緒に食事をし、プレゼントを贈ります。
伝統行事の12月5日は『プレゼントの日』とも呼ばれているようです。
この日のプレゼントのため、11月末に開かれるブラックフライデー(バーゲンセール)にあわせて皆んなが買い物へと出かけるのも伝統行事なように感じます。
シンタクラースが夜中に白馬に乗って空を飛び、良い子に煙突から贈り物を授けるという伝説があります。
家族でシンタクラースのお祝いをする日の前夜に(4日の日の夜)、子供たちは暖炉の傍や玄関に靴を置きます。近年では暖炉がないので、ヒーターの横に置く家庭もあるそうです。
靴の中にシンタクラースへの手紙、白馬のために人参や藁を入れとくそうです。手が込んでる家庭では、靴の横にホットチョコレートやビールも置いたりします。そして翌日、靴の中の手紙は回収されており、代わりにお菓子やプレゼントが入っていると言う、まさにサンタさん方式です。
伝統的なシンタクラースの贈り物はホットチョコレート、みかん、スパイスの効いたクッキーや文字型チョコレートでしたが、今ではプレゼントのグレードも上がって、11月後半から街中のお店で多くのオモチャが売っています。
もはや靴には入りきらないサイズです。
そこでプレゼントを靴に入れるのではなく、工夫して渡すのが現代版新タクラース方式です。
家のどこかにあるプレゼントの地図を渡したり、隣人にドアをノックしてもらい玄関を開けたらプレゼントが置いてあったりなどと、シンタクラースからの贈り物という演出が大切にされています。