オランダで人口第5位の都市アイントホーフェンはオランダ南部を代表する工業都市です。世界的に知られる電機メーカーのフィリップス社や、トラックメーカーのDAFトラックの本社が市内にあります。
アイントホーフェン(Eindhoven)という名前の由来は諸説あり、もっとも知られているのは、Eind(「最後」または「終わり」を意味する)と、hoven(hove)(領主が民間人に賃貸する「土地の一部」を意味する)、の2つの単語からきており、「この地域の最後まで残った土地」といったような意味だと考えられています。
アイントホーフェンの歴史
アイントホーフェンの歴史は13世紀ごろの小さな城壁都市が始まりと考えられています。
16世紀には度々スペインに侵略され家屋の倒壊や大火災が幾度となく起こりました。
17世紀にはフランスのナポレオン軍の侵略により街は多大な被害を被っています。
侵略続きで小都市だったアイントホーフェンが大きく成長を遂げたのは19世紀。産業革命により運河、道路、鉄道が建設され、各都市への交通ルートが整備されました。
ちょうどその頃アイントホーフェンに創設された電球ソケット製造業のフィリップス社が各都市への販売により業績を上げ、創立30年までに欧州各地への販売に成功し大企業へと成長しました。
街の発展はフィリップス社の成功があったからこそでした。
デザイン都市
20世紀初頭にはトラックを始めとする自動車製造業も盛え、DAFトラックもアイントホーフェンで創業しました。
しかし第二次世界大戦では大被害を受け、当時の家屋や歴史的建造物の多くは失われてしまいます。
戦後の都市開発により新しい市役所が建てられ、大規模な住宅地の整備、大きな空港も建設されました。街の復興にはフィリップスやDAFトラックの貢献が大きかったため、多くの産業施設や工場や研究所なども建設され工業経済を動かす要の都市となりました。
1955年にデザイン学校Design Academy Eindhovenがフィリップス社の創業者一族によって設立されます。この学校の卒業生からは世界で活躍するデザイナーが誕生しており、彼らが街へと貢献してくれることで文化や芸術の分野でも評価の高い都市へと成長してきました。
秋はアイントホーフェン
毎年10月にオランダ最大のデザインイベントDDW(ダッチデザインウィーク)がアイントホーフェンで開催され、期間中の10日間は街中がアートとデザインで充たされます。
そして11月には街中がイルミネーションで彩られる光のデザインイベントGLOW(グロウ)が開催されます。
紅葉がはじまる頃になるとアイントホーフェンへと訪れる季節の到来です。
DDWは見たい展示がある年のみ訪れてますが、公式サイトやSNSでもイベントの様子や作品を見ることができます。
GLOWには毎年必ず訪れてしまう、とても楽しみなイベントです。終電までに見尽くせないほどの光のインスタレーションを無料で楽しめます。
フィリップス博物館
<photo by: Ron Theunissen Philips Museum Eindhoven via photopin (license)>
フィリップス博物館(Philips Museum)では創業当時の電球工場の歴史や電球や、懐かしさを感じる90年代のデザイン家電、そして最新のテクノロジーなどを体感する事ができます。
営業時間:11〜17時(月曜休館)
料金:€12.50
ミュージアムカード:入場無料
MAP:Emmasingel 31, Eindhoven
URL:Philips Museum
近代から現代アートの宝庫
<Reference:Rijksdienst voor het Cultureel Erfgoed>
ファン・アッベ美術館(Van Abbe Museum)は近代絵画を代表するピカソやモンドリアンの作品から、ウォーホルなどの現代アートまでの幅広い年代の名作を600点以上を展示している美術館です。
営業時間:11〜17時(月曜休館)
料金:€16
ミュージアムカード:入場無料
MAP:Bilderdijklaan 10, Eindhoven
URL:Van Abbe Museum
110万ユーロのボーリングピン
フライング・ピン(Flying Pins)は彫刻家のClaes OldenburgとCoosje van Bruggenによってデザインされた大きなボーリングのピンのオブジェです。ピンの高さは一番高いところで8.5mあり、ボールの直径は約6.7mもあります。
ちなみに製作費用は約110万ユーロだそうです。
MAP:John Kennedylaan 2, Eindhoven
未確認飛行物体型ビル
<photo credit: Lorenzo Bl Strike! via photopin (license)>
まるでUFO型のような建物のエフォルオン(Evoluon)は科学博物館でしたが、現在はカンファレンスセンターとして利用されており、1,500名を収容するイベント会場にもなっています。
デザインはフィリップスのアイディアが元になっているそうです。ドーム部分は直径77mの鉄筋コンクリート造で、そこに使われている鉄筋はトータルで169kmとのこと。見ごたえのある建物です。
72mの歩道橋と70mの柱
<photo credit: edwin.hoek DSC_8537 via photopin (license)>
歩行者と自転車用のドーナツ型歩道橋Hovenring。中央に立つ高さ70mの柱が直径72mのドーナツ型歩道橋を支えています。柱から伸びる直径5cmの鋼製ケーブル24本で巨大なドーナツ型のコンクリートデッキを釣り上げています。
ちなみに建設費用はなんとなんとの€630万(8億円以上)。
夜はライトアップもされており、計算されたイルミネーションと造形美とがとても美しい歩道橋です。
アイキャッチャーなショッピングビル
駅前広場で人目を惹きつけるアイキャッチャーな建物のThe Blob。イタリア人建築Massimiliano Fuksasがデザインした有機的な形状の建物は、地上5階建てのコンクリート造で商業施設や会議場の用途を持つ複合施設です。
スチールとガラスのトラスファサードが特徴的で、滑らかで湾曲した外観は派手な見た目だけではなく、内部のいたるところに自然光が取り入れられるように設計されています。
The Blobのお隣には地下駐輪場の入口トンネルがあり、このトンネルも合わせてデザインされました。
MAP:Nieuwe Emmasingel 12 Eindhoven
アクセス
アムステルダムからアイントホーフェンまではオランダ鉄道(NS)で約1時間15分くらいです。
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