オランダ人やオランダ語のことを、英語でDutch(ダッチ)といいます。
語源は古く、オランダが独立国となる以前、ヨーロッパ大陸北部(現オランダとドイツの辺り)を支配していたゲルマン民族のことをイギリス人がダッチと呼び始めたことかららしいです。
オランダが独立後、オランダのことをDutch(ダッチ)、ドイツのことをGerman(ジャーマン)と呼ぶようになり、今ではダッチはオランダの国や人、言語を表します。
オランダにはDUTCH 〇〇 的なワードが幾つかあり、その多くがデザインに関係しているように思います。
ダッチデザイン
ダッチデザイン(Dutch Design)という言葉は世界的に広まっています。
オランダのデザイナーに共通するウィットに富んだデザインエッセンスは、ミニマム、実験的、革新的、風変わり、そしてユーモラスな部分が特徴とされるコンセプチュアル・デザインのことをダッチデザインと呼ばれています。
(とても簡単に表すと、機能的で無駄がないのに斬新でオシャレっと言った感じでしょうか。)
ダッチデザインの歴史
20世紀のオランダではグラフィックデザインが全盛期となり、多くのグラフィック・デザイナーが活躍していました。
ミッフィーの著者で有名なディック・ブルーナさんもオランダを代表するグラフィック・デザイナーです。
1980年代以降にダッチデザインという言葉が普及し始めたそうです。
1990年代にオランダのプロダクト・デザインが国際的に高く評価されたことにより、オランダのデザイン技術とともにダッチデザインという言葉が広く浸透しました。
今では工業製品のみではなく、ファッションや建築などの分野でもダッチデザインという言葉が普及しています。
ダッチデザイナー
技術と才能に長けたデザイナーを多く輩出しているオランダ。その理由はデザイナーを育てる強力な教育システムによって支えられています。
アイントホーフェンにあるDesign Academy(デザイン・アカデミー)は、多くの有名デザイナーの出身校で、世界的に評価の名門デザイン大学です。
アムステルダムにあるGerrit Rietveld Academie(ヘリット・リートフェルト・アカデミー)も有名な美大です。
どちらの学校も留学生が非常に多く、インターナショナルな技術やアイディアを取り入れることができるよう、全の授業が英語で行われています。
新卒デザイナーへの政府支援
ダッチデザイナー育成の成功の第2の要素は、新卒デザイナーに対する政府の支援があることです。
1988年に設立されたFonds BKVB(デザイン基金)の資金援助があり、デザイナー志望の学生は卒業直後に独立しビジネスを始めることで資金援助を受けることができます。
また企業でもデザイナー職は必要不可欠な存在とされており、製品開発プロセスの初期段階からチームの一員として仕事を任されます。(日本の企業では初期段階からチームにデザイナーが配置されることは多くはありません。)
オランダ電機器産業トップのフィリップス社は、世界中の12個のオフィスで約450人のデザイナーを雇っているそうです。
日本人にとってデザイナーというと軽そうなイメージを抱く方も少なからずいるかもしれません。
しかし日本語で言い換えるとするならば、デザイナー = 職人、デザイン = 職人技という方が意味合いが近いと思います。
ダッチデザインの成長の秘訣はオランダ政府が全面的にサポートしているからなのかもしれません。
DDW
Dutch Design Week(ダッチ・デザイン・ウィーク)、通称DDWはアイントホーフェンで毎年10月に開催されるオランダ最大のデザインイベントです。
アイントホーフェン市街地の60箇所で様々な展示やイベント、レクチャーが9日間開催されます。
工業デザイン、グラフィック、テキスタイル、ファッション、空間、食べ物、音楽などと、あらゆる分野のデザインが集結するため、毎年15万人以上の人々が訪れているそうです。
イベント会場はチケット制だったり入場料が場所ごとにかかりますが、無料の展示会場や屋外の展示などもあり、無料会場を周るだけでも丸1日はかかります。
街中の様々な場所でインスタレーションが行われていたり、お店の中に展示があったりするので、無料会場だけでも大満足できる最先端のダッチデザインにふれ合えるイベントです。
アイントホーフェンの駅前に仮設のインフォメーションがあるので、そこで地図やイベント情報、チケットなどを購入することができます。
日帰りでも十分楽しめるので、秋のお出かけにオススメです。