アイントホーヘンの中心部にあるフィリップスミュージアム(Philips Museum)は、電球から始まったオランダの技術革新の物語を体感できるミュージアムでした。
フィリップス社の歴史、オランダとの関わり、そして街そのものがどのように発展してきたかを知ることができます。
「アイントホーヘン=フィリップスの街」と呼ばれる理由が、訪れてみてよく分かりました。
フィリップスとアイントホーヘンの関係

アイントホーヘンは、もともとは小さな工業都市でした。
その街が世界的なテクノロジー拠点へと発展したのは、1891年にフィリップスがこの地で電球工場を設立したことがきっかけ。
フィリップスは照明をはじめ、医療機器、音響、通信、家電など幅広い分野で世界をリードしてきました。
ミュージアムでは、その“光”の物語が時代順に展示されています。

初期の電球から始まり、真空管やラジオ、テレビ、そして現代の医療テクノロジーまで。どの展示にもオランダらしい合理性とデザイン性が感じられました。
展示内容:歴史をたどるタイムライン

館内は年代ごとにセクションが分かれていて、
創業期 → 戦時中 → 戦後の発展 → 現代のイノベーションへと進んでいきます。
特に印象的だったのは、オランダ国内での無線通信やテレビ放送の発展にフィリップスが深く関わっていたこと。
今では当たり前の技術の基礎が、ここで生まれていたんですね。

英語解説も多く、展示パネルも読みやすい構成でした。
全体的に静かで落ち着いた雰囲気で、来館者は高齢の方が多かった印象。
見学ツアーも開催されていて、こちらも年配の方たちが熱心にガイドさんの話を聞いていました。
原点の部屋:1891年のレンガ工場を再現

ミュージアムの中でも一番印象的だったのが、レンガ造りの小部屋。
ここは、1891年にフィリップスが最初に電球を作った工場を忠実に再現したエリアです。
壁の質感や作業台の配置、当時のガラス管やフィラメントまで、驚くほどリアル。
小さな工房からすべてが始まったと思うと、少し胸が熱くなります。

この部屋では、電球ができるまでの工程を紹介するショーが定期的に行われています。
オランダ語のガイドでしたが、流れでだいたい内容が分かる感じでした。
実際に職人が手で作っていた時代の技術を“見る”ことで、ここからアイントホーヘンが産業都市として発展していった歴史が自然と伝わってきます。
体験ゾーンではAI展示も!

1階は歴史展示がメインで、2階に上がると現代のフィリップスの技術を紹介する「インタラクティブゾーン」がありました。
ここではAI技術を使った体験展示がいくつもあって、実際に触ったり動かしたりできました。

光の色や強さを変えられるデモ、医療分野でのAI活用、さらには人の動きを感知するインタラクティブな映像など、まるでテクノロジーの遊園地みたい。
わりと高度だったので、大人向けのミュージアムな印象でした。
世界の街を照らすフィリップスの光

個人的に一番興味深かったのは、フィリップスが世界中の建物や都市照明のデザインにも関わっている点。
アイントホーヘンの街のイルミネーションはもちろん、世界の名建築にもフィリップスの照明技術が使われています。
「光=文化を形づくる要素」だと改めて感じました。アートとテクノロジーの融合という言葉がぴったりな展示です。
館内設備とアクセス

館内はそれほど広くないですが、見どころが凝縮されています。
1時〜1時間半あれば十分回れる規模です。
ミュージアムショップには、レトロデザインのオリジナルグッズなどが並んでいました。カワイイ商品が多かったので、必ず立ち寄りましょう!
カフェも併設されていて、街歩きの休憩にもぴったりです。
まとめ:光とテクノロジーの街を知るならここ
フィリップスミュージアムは、単なる企業博物館ではなく、オランダの産業史・技術史そのものを語る場所。
静かな展示空間に流れる100年以上の「光の物語」は、未来志向のオランダらしさを感じさせてくれました。
アイントホーヘン観光の途中に立ち寄るのにも最適なミュージアムです。
秋にアイントホーヘンで開催されるデザイナーズウィークや、ライトフェスGLOWとあわせて観光するとテクノロジーやデザインの両方をより楽しめると思います。





