2023年1月に完成したアムステルダム中央駅の駐輪場が話題になりました。
4年の工事期間を経てオープンした巨大な駐輪場は、駅前南側に7000台、そして北側に4000台と、合計1万台以上の駐輪スペースを備えており、より多くの人が駅前に自転車を駐輪することができるようになりました。
また駐輪場建設工事と合わせて駅前の自転車道・車道・路面電車の動線も整備され、駅前のスペースが歩行者にとってもより安全に生まれ変わりました。
そんな新しくできた駐輪場がデザイン的にも近未来感があってオシャレだったので、さっそく見学に行ってきました。
アムステルダム中央駅の駐輪場の施設概要
2023年にオープンしたアムステルダム中央駅前駐輪場は24時間までは無料で利用することができます。24時間を過ぎると有料となりますが、1日あたり€1.25と低価格の料金設定です。
管理されている駐輪場なので防犯面でも安心ですし、屋根付きなので雨風でダメージを受けることもありません。また自転車修理屋さんが併設しているので故障などのトラブルが起きた時にすぐに直してもらうこともできます。
ただし駐輪できるのは自転車のみで原付スクーターやバイクは利用できません。また自転車の前輪部分にワゴンがついた大型自転車(カーゴバイク)も駐輪不可となっているのでご注意ください。
チェックイン・アウト
自転車ごと乗れるエスカレーターを下ると駅の改札のようなゲートがあります。ディスプレイのところにOVカード(オランダのIC乗車カード)か、銀行のPINカードでタッチしてチェックイン(入場)します。
帰る時にも再びタッチしてチェックアウトします。
チェックインの時には料金は発生しませんが、24時間以内にチェックアウトしな買った場合はその後は24時間ごとに€1.25と費用がかかるようになっています。
駐輪場を頻繁に利用する方は自転車にFietstag(自転車タグ)を付けると自動でチェックインすることができるようです。Fietstagはアムステルダム市が発行しているサブスクリプションなので、市の公式サイトから申し込むことができます。
駐輪スペース
オランダ定番の二段式駐輪スペースになっており、空いているところに自由に駐輪することができます。
ただし大きなカゴ付きの自転車や、チャイルドシート付きの自転車などのは専用エリアに駐輪しなければなりません。専用エリアは駐輪スペースの間隔が広くとってあるので、大きな前カゴを付けた自転車でもゆったりと止めることができるようになっています。
↑このサインがある所が間隔が広い駐輪スペースです。
レンタル自転車
オランダ鉄道(NS)が提供しているレンタル自転車OV-fietsを借りることもできます。
駅前南側の駐輪場に800台以上、北側の駐輪場に200台以上のOV-fietsが設置されています。OVカードがあれば1日約€4で自転車をレンタルすることができるので、サイクリング観光も楽しむことができます。
駐輪場のデザイン
アムステルダム中央駅前にある運河は、観光船の乗り場にもなっています。そのアムステルダムを象徴する運河の真下に駐輪場が建設されました。
建設
現在は旧駐輪場は撤去工事が始まりましたが、運河下の駐輪場が完成する前までは駅前にズラリと自転車が並んでいました。
アムステルダム中央駅前の運河の真下に建設された駐輪場。Googleマップではまだ建設時の航空写真を見ることができます。赤く囲った部分が新しい駐輪場で、現在は運河になっています。
駐輪場の真上の運河は遊覧船の乗り場になっています。また広いデッキスペースが新設されており、水辺で佇むことができるようになっていました。
インテリア
運河の下に建設された巨大な駐輪スペースは「水」をイメージしてwUrckによってデザイン設計されました。地下を感じさせない明るさと、曲線の柱が特徴的なデザインになっています。
自転車を停めるスペースは従来からある単純な作りなので、どこに駐輪したか分かるように柱に番号が記載されているシンプルなサイン計画になっています。
天井の円形照明には古き良き時代のアムスレルダムの写真、そして壁面にはアムステルダムの地図が青焼されていました。これらの写真や地図はアムステルダム美術館が提供している貴重な資料なので、ちょっとしたミュージアムとしても楽しめます。
動線計画
駐輪場の入口には自転車用のエスカレーターが設置されています。上りは2レーンあるのですが、下は1レーンしかないので、ラッシュ時には少し混雑していました。
自転車をピックアップにきた歩行者用に階段もあります。
駐輪場の奥にはアムステルダム中央駅への通用口もあります。こちらは自転車は通れないようになっています。
駅北側の駐輪場
2月にアムステルダム駅北側の駐輪場もオープンしました。こちらには4000台の駐輪スペースがあります。
北側駐輪場は縦に長い空間で、天井の木製ルーバーとライン照明が印象的な流れのあるデザインでした。サイン計画は番号ではなくてWATERやWINDなどの記号でエリア分けがされていました。
北側駐輪場も地下に建設されました。入口がスッキリとしたデザインなので見つけにくいです。こちらの入口はエスカレーターはありません。自転車用の階段で地下まで降りていきます。
南側と同様に地下の入口でカードをタッチしてチェックイン・チェックアウトして入場します。24時間までは無料で利用できます。ただし北側駐輪場は24時間営業ではないので注意が必要です。
出入り口には駅の時刻表もついていました。ただし駅に直通していないので、一度地上に出てから自転車道を横断して駅まで歩くようになります。
まだ古い駐輪場の一部はまだ残されていますが、今月中には古い駐輪場の撤去作業が行われる予定です。カオスな駐輪場が無くなることで、駅周辺がかなりスッキリする予定です。
駅の北側はアイ湾に面してウッドデッキのパブリックスペースが整備されています。既に天気の良い日にはボーッと過ごす人々が集っているそうです。まだ少し寒いですが、夏になったらたくさんの人が佇みに訪れそうな印象でした。また年越し花火を見るのにもベストな場所になるように思います。
どちらのスペースも自転車を停めるのが楽しくなる駐輪場です。新しい駐輪場を利用してアムステルダム観光を楽しんでみてください。