オランダの首都アムステルダムに次ぐ大都市のロッテルダムは世界屈指の貿易港を擁する都市です。
アムステルダムとは対照的に近代的な建物が多いロッテルダム。市街地では伝統家屋を見かけることがありません。それはロッテルダムが第二次世界大戦で焼け野原となった街だからです。
戦後の復興には著名な建築家により都市開発が整備され、現在でも多くの建築家やデザイナーによって都市計画が行われています。ロッテルダムでは街の在り方を建築家と市民が一緒になって考え模索するイベントが毎年6月に開催しています。
ロッテルダム建築月間2023
ロッテルダムで毎年6月に開催されているRAM(Rotterdam Architectuur Maand:ロッテルダム建築月間)は、都市の現在と未来を考えるオランダ最大の建築イベントです。
教育やデザイン分野の多くの企業・デザイナー・アーティストが協力し、建物や都市がどのように人や自然に影響を与えるかを考え模索するような内容となっています。
専門的な話しの講演会や展示会もありますが、ガイドツアーやワークショップなどとコミュニケーションがとれるスタイルの催しが多いのが特徴的です。
また堅苦しい展示だけでなく、アートよりな企画も多く、美術館好きなオランダ人にフィットしたイベントだと感じます。アートやデザインを通して自分の住んでいる街や都市に意識を向けさせる、そんな趣旨のイベントのように思います。
ロッテルダム港の水上展示会
今年のRMAのメイン会場はマースハーベン(Maashaven)です。マースハーベンはロッテルダムを流れるニューマース川の南にあるロッテルダム港の1つです。
1905年に港が整備されてから21世紀まではマースハーベンに多くの船舶が集まる貿易港でした。
現在は貿易会社は移転し、倉庫はイベント会場となり、港の周りには高層マンションが建設されています。
そんなマースハーベンの旧倉庫前に3隻の巨大コンテナ船が設置され、RMAのメイン会場となっています。
1隻はコンテナ内が緑化され公園のような船になっており、1隻はイベント会場、1隻は展示会場となっています。
将来的にはマースハーベンの一画を埋め立てて広い公園が作られる予定です。展示会場のコンテナではこれからのロッテルダムの港の整備や緑化計画などの提案を見ることができました。
ロッテルダム・ルーフトップ・デイズ
RAMと同時に開催しているのがルーフトップ・デイズ(Rotterdamse Daken Dagen)と呼ばれる、ロッテルダムの屋上イベントです。
ロッテルダムに無数にある平たんな屋根(陸屋根)を有効活用しようというイベントとなっています。
ルーフトップ・ウォーク
毎年恒例なのがビルの屋上を歩けるルーフトップ・ウォークと呼ばれるイベントです。2023年はロッテルダムザウドのショッピングモール(Winkelcentrum Zuidplein)の屋上で開催されています。
今年のルーフトップ・ウォークは去年よりは低い建物だったのでロッテルダムを一望はできませんでしたが、全長850mのルートにたくさんのアート作品が描かれていました。
ショッピングモールの屋上はサッカーコート6面分の広さがあります。歩いて見て回るだけで1時間も楽しめる広大な展示スペースでした。
そんな広さの屋上は部分的にソーラーパネルが設置されていましたが、ほとんどのスペースはただの屋根です。このような屋根をもっと有効活用できる方法を考えようといった提案のイベントとなっています。
今年のルーフトップ・ウォークは入口が分かりずらくてショッピングモール内を右往左往してしまいましたが、エントランスは地下鉄Zuidplein駅から直結していました。ショッピングモール内ではないのでご注意ください。
セントラルの屋上
ショッピングモールの屋上を歩けるルーフトップ・ウォークは6月1日〜30日まで開催していますが、ルーフトップ・デイズの主なイベントは6月1日〜4日にかけて行われ、ロッテルダム市内のあちこちで屋上イベントが開催されました。
6月3日4日限定でオフィスビルの11階に入場できるイベントに訪れてみました。こちらはロッテルダム中心部のビルだったので、市街地の近代建築を見渡せました。
屋上緑化されてたり、ソーラーパネルが設置されている建物もありましたが、多くの屋根が空きスペースになっているのが見えました。
ダンスパフォーマンス
6月3日4日限定のダンスイベントも見てきました。もしも海面が上昇し屋根の上で生活することになったら、お互いに助け合うのか、それとも自分だけを守るのかっといった趣旨のパフォーマンスでした。
滑りやすそうな屋根の上でのダンスパフォーマンスに目を惹きつけられハラハラしてしまいました。
あとがき
英語やオランダ語での案内なのと、専門的な展示が多いので、とっつきにくい所もありますが、RAMはオランダ建築のデザインアイディアが詰まっている見応えのあるイベントだと思います。
歴史ある街のアムステルダムとは違い、ロッテルダムはこれからの歴史を作っていく都市としての魅力がとてもある街です。常に新しいプロジェクトが始まったり建設されているので、毎年RAMに訪れるのがとても楽しみです。
今年はもう1つRAMで訪れたいイベントがあるので、もう一度ロッテルダムに行く予定です。近代建築巡りやカフェ巡りもしてきた&してくる予定なので、今後にロッテルダム観光ブログも更新する予定です。