イタリアのバーリから電車で約1時間40分ほどのところにAalberobello(アルベロベッロ)という小さな村があります。
アルベルベッロの街の建物は、おとぎ話に出てきそうな雰囲気の独特な三角屋根が有名で、雑誌などで見たことある方も多いと思います。
漫画ワンピースの舞台の町
<ワンピース15巻より引用>冬島ドラム島のビッグホーンの町並み
アルベロベッロの街並み
漫画ワンピースにもアルベロベッロが登場しています。
チョッパーの故郷、冬島ドラム島にルフィーたちが医者を探して上陸し、最初に訪れた雪の降る村ビッグホーンは、アルベロベッロの街並みがモデルにされているとの噂があります。
イタリア南部にあるアルベロベッロは冬でも暖かい方なので雪は降りませんが、建物の形はかなり類似しています。
ユニークな三角屋根のトゥルッリ
アルベロベッロには、白壁に円錐形の石積み屋根を載せた「トゥルッリ」と呼ばれる伝統的な家屋が約1500軒あるそうです。
この辺りは16世紀の半ばからの約100年間に開拓され、その開拓農民の手によってトゥルッリが建設されました。
かつてはこの地域一体に多くのトゥルッリがあったそうですが、
アルベロベッロには未だにトゥルッリが多く現存しており、かつ現在でも居住している貴重な建物なことから1996年に世界遺産に登録されました。
屋根に描かれている絵は落書きではなくて、神話や宗教的なシンボルだそうです。
「トゥルッロ」(複数形が「トゥルッリ」)は、「部屋一つ屋根一つ」という意味を持ち、その名の通り一つの部屋の上に一つの屋根がある建物構成になっています。
内部に玄関や廊下はなく、ドアは開けると直部屋と言う間取りです。
建築構造は、壁面は石灰岩の切石を積み上げているだけで、モルタルなどの接合剤を使っていません。
屋根も灰色の切石を積み上げただけの状態で、解体が非常に容易な造りとなっています。
まさかの脱税用の建物だった!?
農民たちが入手できる限られた材料で、気候風土に合った家として建てられたトゥルッリですが、切石を積上るだけの簡易的な仕様となった背景には、領主によって命じられていたと言う説もあります。
当時、領主が支払う税金の1つ、領地の固定資産税は、『漆喰で塗装された屋根のある家』が課税対象だったそうです。
そこで徴税人が来る時に、領民が屋根を取り壊して、「屋根がないから非課税だ」 と税金をごまかしていた
と言う話もあるそうです。
一休さんの様なトンチ話的で、真意も定かではありませんが、
ファンタジーの世界、おとぎの国、などと云われているアルベロベッロの裏の顔が見えてしまいました。
税金対策によって創られた町並み と思うと哀しい現実を感じますが、
解体できる建物とは思えないほどの造形美なのはいうまでもありません。
お金の話は終わりにして、ワンピースの冬島編を読んでから訪れたいアルベロベッロです。
アムステルダムからイタリア、バーリ空港へ(約2時間半)
バーリからマルティナフランカ行の電車(約1時間40分)