ロッテルダムのお隣の町のスキーダム(Schiedam)は世界最高高さ33mの風車がある町です。
そんなスキーダムの市立美術館(Stedelijk Museum Schiedam)は、歴代のキュレーターさんが現代アートに力を注いでおり、保有コレクションの多くが20世紀以降の作品となっています。
また企画展には若手アーティスト作品を取り上げる事が多いのも特徴的な美術館です。
2020年から建物改修工事のため閉館していましたが2022年の5月に再オープンしました。
紅のエントランス
18世紀後半にイタリア人建築家によって建てられた新古典主義様式のスキーダム市立美術館は風格ある佇まいです。
しかし入口のドアをあけると、外観とは異なった世界が広がっていました。
スキーダム市立美術館は2014年にもともと礼拝堂だったスペースをエントランスへと改装しています。デザインはMVRDVです。
18世紀後半に建てられた建物は文化遺産のため取り壊すことができませんでした。そのため既存部分はそのままに改修し、新たに加えた部分を真紅に仕上げることで、古いものと新しいものを対比しています。
真っ赤な壁面の彩度を落としているので、礼拝堂の神聖な空気感はそのまま残っているように感じました。
紅色の壁は全面が棚です。美術品を展示できる美術館要素もふくんでいます。
またこの紅の壁には美術館の天敵となる「湿気」と「音」の問題を解決する役目もあります。
紅の壁には空気が流れやすいように細工されており湿気やカビを防ぎ、また遮音性能の高い木材(MDF)を使用する事で音の反響を防いでいます。
軽量合板の壁なので既存建築に負荷なく簡単に解体することもでき、万が一にも壊れたりした時には容易に修繕することができるようになっています。
現在はこの真紅の礼拝堂スペースは美術館のエントランスとなっており、ミュージアムショップとカフェもこの礼拝堂スペースにあります。
スキーダム市立美術館が誇る現代アートを鑑賞した後は、カフェで一息ついて真紅の礼拝堂も堪能してみてください。
スキーダム市立美術館
改修工事が終わり2022年の5月に再オープンしたスキーダム美術館ではSun-spark spraying展が9月11日まで開催されています。(2022年情報)
遊び心あるインスタレーションの数々を見る事ができる、とても印象的な展示でした。
また地下ではパノラマスキーダムと題した展示作品、そして階段室内の壁面にも多くの展示が施されており、館内全域が展示会場となっていてとても面白い体験でした。
礼拝堂内のカフェの飲み物はセルフサービスとなっており、勝手にコーヒーマシーンでコーヒーを入れて飲む事ができます。ちなみにコーヒーやお茶は料金設定がありません。値段を自分で決めて最後にお支払いします。(アルコールは金額が決まっています。)