オランダで最も近代建築が豊富な大都市ロッテルダム。第二次世界大戦で爆撃をうけ市街地が全て吹き飛んだロッテルダムは、戦後に急速に都市開発が進み、今ではダッチデザイン宝庫都市の1つです。

さて、そんな建築都市ロッテルダムでは毎年6月にRotterdam Architectuur Maand(RA Maand:ロッテルダム建築月間)と題されたイベントが開催されています。
建築系イベントは、建築・デザイン関係者や学生向けの講演会やセミナーが中心となっていて、RA Maandもイベントの多くは建築家向けの内容が多くなっています。その中でも一部は体験型イベントも企画されており、一般の方でもアトラクション感覚で楽しむ事ができるように思考が凝らしてあります。
本日は建築知識がゼロでも楽しめるRA Maand 2022をご紹介です。
Rotterdam Rooftop Walk
建築月間っと題しておきながら、実はイベントの一部は先月から始まっていました。その1つがRooftop Walk(ルーフトップ・ウォーク)です。
既にニュースやSNSでも話題になっているルーフトップ・ウォークは、ロッテルダムのメインストリートの1つCoolsingel(クールシンゲル通り)の上空30mの高さに仮設された歩道です。
普段けして見る事のない屋上からの眺めを楽しめるルーフトップ・ウォークは、新しい視点から街を眺めようというインスタレーションとなっています。
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カラフルなオレンジ色のルーフトップ・ウォークは全長600mあり、約1ヶ月のあいだ素晴らしい景色を眺めることができます。
ルート上にはアート作品の展示もあります。また屋上での緑化、貯水、食料生産、エネルギー生成を効率的に使用すれば、どれだけの可能性があるかを示す展示もされています。
このインスタレーションでは「今まで見る事がなく忘れられていた屋上に目を向けてみよう」というような意味が込められています。
ルーフトップ・ウォークのイベントは建物の屋上の空きスペースを利用しています。このような空きスペースとなっている陸屋根(平たんな屋根)は、実はロッテルダムにはたくさんあり、全ての陸屋根を合わせると18.5k㎡(東京ドーム約385個分)と超巨大な面積となります。
空きスペースとなっている陸屋根の上を利用し、都市緑化、農作物生産、エネルギー生産などへの活用ができるのではないかとうい提案の取っ掛かりとなっています。
ルーフトップ・ウォークを実際に歩いてみて、どのような活用方法があるか、その可能性を探ってみてはいかがでしょうか。
Rotterdam Rooftop Days
ロッテルダムではRooftop Daysと呼ばれる「ロッテルダムの屋上を有効活用しよう」というプロジェクトが始動しています。
今回のルーフトップ・ウォークもその一環で、Rooftop Daysプロジェクトの第2弾となりました。
ちなみに第1弾は2016年にロッテルダム駅前に建設された巨大階段です。
そして第3弾が続き、この6月の間HetNieuweInstituutの屋上にピンク・ポディウムが期間限定でオープンしています。(詳細は来週UP予定です。)
Rooftop Daysプロジェクトは今後も様々なイベントやインスタレーションを続けますので、屋上利用の可能性を探る新提案に期待がたかまります。
Rotterdam Architectuur Maand 2022
RA Maand(ロッテルダム建築月間)では6月のあいだロッテルダム市内のさまざまな場所で建築イベントが催されます。
ルーフトップ・ウォーク以外にも楽しめそうなイベントも多数あります。その中で目についたイベントをいくつかご紹介します。これを機会にロッテルダムの建築を楽しんでみてください。
Hoofdtentoonstelling (T)Huis
建築家、メーカー、学生、イノベーターによる40以上の革新的な計画とデザインを備えた展示会。(詳細は来週UP予定)
Het Podium
Het Nieuwe Instituutに仮設されたHet Podiumは、屋外階段からアクセスできるピンクの屋上プラットホームです。Het Nieuwe Instituutで開催中の展示会MVRDVHNIの延長として企画されました。(詳細は来週UP予定)
Architectuur in Miniatuur

photo by rotterdamarchitectuurmaand.nl
ミニワールドロッテルダムはベネルクスで最大の屋内ミニチュア展示場です。世界の街をミニチュアで見る事ができるミニワールドでは、期間限定でロッテルダム展が開催中です。現在のロッテルダムの美しい街並みを精巧なミニチュアで再現されています。
De Smaak van Architectuur

photo by rotterdamarchitectuurmaand.nl
De Smaak van Architectuurは、ロッテルダムの建築都市を歩き、おいしい料理を楽しむことができるガイドツアーです。建築巡りをしながらお腹を満たすユニークなツアーです。
NIGHT VISION

photo by rotterdamarchitectuurmaand.nl
夜の建築はどのように発展してきて、どのように今後は変化していくのか。RA MaandとIABR(国際建築ビエンナーレロッテルダム)が主催するトークイベントなようです。(英語)
Rotterdam Architectuur Prijs

photo by rotterdamarchitectuurmaand.nl
毎年もっとも素晴らしい建築が選ばれるロッテルダム建築賞(RAP)の表彰式が開催されます。6月上旬までは一般の方でも投票できるようになっています。
ご紹介した以外にも様々なイベントが予定されているのでRA Maand公式サイトより詳細を追ってみてください。
筆者の大好きでやまない設計集団MVRDVの本拠地もロッテルダムにあります。世界中で活躍するMVRDVはオランダが誇る設計事務所です。そのためロッテルダムのデザイン系イベントには必ず関わっています。


