オランダ東部、アムステルダムから電車で約1時間半の街ズウォレ(Zwolle)。
中世には北ドイツ〜オランダ沿岸都市を結ぶ貿易同盟「ハンザ同盟」の一員として栄えた歴史があります。
ハンザ同盟とは、商人や都市が協力して貿易を安全に行うために結んだネットワークのことで、ズウォレもその重要な拠点のひとつでした。
街の中心は今も城壁や運河に囲まれ、歴史の面影が色濃く残っています。
大都市ほど華やかではないですが、その分落ち着いて歩ける街並みで、歴史やアート、街歩きをゆっくり楽しむにはぴったりの街でした。
デ・フンダーチー美術館
ズウォレ観光でまず目に入るのが、ユニークな外観のデ・フンダーチー美術館(Museum de Fundatie)。
歴史的な建物の屋根に、近未来的な楕円形のドームが乗っているデザインが特徴的です。
外観はかなりインパクトがあり、「おおっ!」と思わせてくれますが、中は意外と普通の美術館w。円形ドームからの眺めは良かったです。
ちょうどやっていたオランダ印象派の展示はとても良く、静かにアートを楽しめました。
ズウォレ大教会
街の中心にそびえるズウォレ大教会(Grote Kerk)では、正面広場ではサタデーマーケット、そして教会の中ではアンティークマーケットが開催されていました。
広場も大教会の中も市民で賑わっていて、街の生活に教会が溶け込んでいる感じが印象的でした。
内部にはちょっと変わったデザインのステンドグラスや、巨大なパイプオルガンの裏に隠れた小部屋など、独特な構造もあり、見応え十分でした。
教会前の広場はマーケットで賑わっていましたが、裏側に回ると一転して静かな広場が広がり、カフェのテラスでのんびり過ごす人々の姿がありました。
街の表と裏の顔を同時に楽しめるのも面白いです。
ペペルバス塔
市内のあちこちから見えるペペルバス塔(De Peperbus)。
塔に登ることができ、頂上からはズウォレ市街を一望。教会や運河、城壁の風景を360度楽しめるようです。
建物の中は教会で、ズウォレ大教会よりも教会らしさを感じました。神聖な空気が漂っていて、荘厳さを体験できるスポットでした。
デル・ヴェルデ書店
ズヴォレでぜひ立ち寄りたいのが、本屋さんのデル・ヴェルデ書店(Van der Velde Books Zwolle)。
ワンダース・イン・デ・ブルーレン(Waanders in de Broeren)との通称もある建物は、15世紀に建てられた「ブルーレン教会」を改装して作られた、美しい建物をそのまま活かした書店です。歩いているだけでワクワクする空間でした。
内部は荘厳な雰囲気を残しつつ、3層のメザニンフロアで書籍がゆったり並べられています。
この改装はオランダの建築事務所BK. architectenが手掛け、歴史的建物の価値を保ちつつ、現代的な書店としての機能性も両立させています。
木材と白い漆喰の内装が教会の荘厳さと調和していて、本を探すのも眺めるだけでも楽しい空間。古い天井画が残っているもの見どころです。
洋書や地元の書籍に加え、日本の漫画(英語版)も豊富に揃っていて、ちょっと驚き。教会跡地のインテリアと合わせて、歴史と現代文化のコラボ感が最高でした。
サッセン門
中世の城門として残っているのがズウォレ・サッセン門(Sassenpoort)。
今回は時間がなく外観を見ただけでしたが、レンガ造りの重厚な姿は街の歴史を象徴しているようでした。城壁都市として栄えたズウォレの過去を感じられる建物です。
中に入ると展示スペースがあり、城門の仕組みや歴史、昔の防衛装置を見ることができます。歴史好きなら中もぜひチェックしたいスポットです。
ヘザー畑までサイクリング
ズウォレの街歩きは半日ほどで十分楽しめます。時間に余裕があれば、駅でOV-fietsを借りてWezepsche Heideまでサイクリングするのもおすすめ!
8月の終わりから9月上旬の、短い期間に咲くヘザー。Wezepsche Heideでは、紫のヘザー畑をのんびり散策できます。

まとめ:歴史と日常が混ざり合う街
ズウォレはハンザ同盟の歴史を感じつつ、教会や塔、本屋さんなど個性あるスポットをのんびり巡れる街でした。
観光地としての派手さはないものの、街を歩きながら歴史ある建物や地元の人々の生活に触れられるのが魅力。
美術館でアートを楽しみ、教会でマーケットを眺め、本屋さんで本に囲まれる——そんな一日が過ごせるズウォレは、オランダ観光の穴場としておすすめです。