1992年にオープンしたロッテルダム芸術ホール(Kunsthal)は、企画展のみに特化した美術館型の展示スペースです。
施設の分類的には美術館ですが、保有するコレクションはゼロ。
通常の美術館とは運営システムが全く異なり、どこか(または誰か)から美術品を借りてきて、期間限定で展示しています。
そのため、いつ訪れても新しいアートワークに出会うことができます。
OMA建築
ロッテルダム芸術ホールの建築デザインは、ロッテルダムの建築家レム・コールハース率いる設計事務所OMAです。
今や世界の巨匠建築家であるザハ・ハディドやMVRDVのマースやライスもOMA出身。レム・コールハースは彼らの師匠にあたる人です。
レム・コールハースのデザインは、均等じゃ無い、均一じゃ無い、直角じゃ無い、といったような、普通と違う一面を持った建物が特徴的です。建物は四角形じゃなくても良いし、窓は等間隔に配置しなくても良い、とあたりまえじゃないことにチャレンジしてきた人なように思います。
ロッテルダム芸術ホールは、建物の正面は長方形の典型的な美術館のように見えますが、館内は一筆書きのような流動的な動線なのが特徴的でした。
決まったルートはありません。作品を見ながらグルグル歩いていると、気がついたら1周していました。
1階のカフェスペースの天井は斜めになっています。その斜めの天井の真上が講義スペースのフロアです。斜めの床がそのまま座席になっていました。
スラブが床と天井の両方の役割を果たしているのはユトレヒト大学のエデュカトリウムと類似しています。
開放的な展示室
ロッテルダム芸術ホールには、全部で7つの展示室があります。1階と2階に広い展示室が1つずつあり、その周りに小さな展示スペースがありました。
各階の広い展示室は、壁の一面が外部と繋がっているような巨大なガラスでした。1階は北側の公園に面した壁がガラス張りで、2階は南側の大通りに面した壁がガラスとなっており、開放的な印象でした。
2階の大通り面したところには屋外展示スペースもあり、スポーツカーのアートが展示されてました。ここだけ見ると、まるで車屋さんのショールームのようでした。
個性的なアート作品
奇抜で新しい現代アートが多く、目を惹きつける魅力的な作品に出会えました。
代表するコレクションが無いのに、常に人を惹きつけるロッテルダム芸術ホール。キュレーターさんの企画力の高さを感じます。
いつ訪れても新しい作品に出会える、とてもユニークな美術館だと思います。
ミュージアム公園
ロッテルダム芸術ホールの北側にはミュージアムパークが広がっています。緑が多く野鳥の声が響き渡るのどかな公園でした。
公園をぬけるとボイマンス美術館につながっています。ロッテルダムで美術館を散策できるエリアでした。