ダム広場で最も目を引く建物、王宮。この建物が建てられたのは17世紀のこと。またこの建物がもともとは市庁舎だったというのは有名な話です。

17世紀のアムステルダムは活気に溢れ、ヨーロッパ屈指の都市へと発展していました。貿易により街は豊かになり、半世紀で人口は5倍にも増えたそうです。
急激に成長した都市をコントロールするために必要な市庁舎として建てられた建物が、今の王宮です。


市庁舎の建設
終戦を迎えた80年にもわたるスペインとの戦争の記念碑の1つとして、有名建築家ヤコブ・ファン・カンペンの設計により、1648年から建設が始まりました。

建設中の市庁舎とダム広場

この建物は建設後の200年の間、ヨーロッパ最大の建物でした。
外観は幅79m、高さ53m。膨大な量の砂岩や大理石が海外から運び込まれ、外壁や内装に使われています。
手の込んだ彫刻やインテリアが中世オランダ建築デザインの特徴の基盤となりました。
またアムステルダムは海抜ゼロメートル地帯で、この辺りの土地はとても柔らかいです。そこで13659本の木杭が地中に打たれ、建物の基礎となっています。

あまりの大きさを誇る建物で、優美な建築は、”世界の第八不思議”という異名が建設中からついてしまいました。
この時代に基礎工事で1万本以上の杭を使ってたなんて、はたから見てれば異様な光景です。そりゃ”世界の第八不思議”と言われてもおかしくない出来事です。

1680年のダム広場 ;Amsterdam Municipal Department for the Preservation and Restoration of Historic Buildings and Sites (bMA)

1652年には、それまで市民が利用していた市庁舎が火災で全焼してしまい、まだ建築途中だったこの建物が市庁舎として使われ始めました。

それから3年後、ようやく工事が終わり、市庁舎としてオフィシャルオープンしたのは1655年7月29日のことです。

 

 

 


市庁舎から王宮、そして宮殿へ
1794年フランスがオランダへ侵攻し、ネーデルラント連邦共和国は崩壊しました。
そして1808年4月20日にナポレオンの弟、ルイ・ボナパルトがオランダの王に即位し、ホラント王国となりました。
ルイ・ボナパルトはオランダで王宮に適した建物を検討したところ、この市庁舎が目にとまり、王宮として改装してしまったのです。
床には重厚なカーペット、数々の装飾品、数百の椅子やテーブルが王様のために作られました。
ルイ・ボナパルトはオランダ人の利益にも配慮し、オランダの王としての責務を良心的に果たしました。

しかし兄のナポレオンにより、1810年には王座から退位させられてしまったのです。
政治的な考え方の違いなどから、兄弟喧嘩的なところもあったのではなかろうかと。
このたった2年の王のために作られた歴史的な家具は、今でも宮殿内で見ることができます。

その後アムステルダムはフランス帝国の3番目の都市として、王宮は宮殿となりました。
1811年、ナポレオン・ボナパルトとその妻マリー・ルイスはアムステルダムに訪れ、この宮殿で一晩過ごしたそうです。

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オランダ国王の帰還と王宮

1814年

1813年にナポレオン皇帝が敗北し、フランス人がオランダから追放された後、オランダの最後の王子が帰国しました。
摂政ウィリアム5世の息子、Frederik Willem van Oranje-Nassauは、イギリスで数年間亡命していたのです。
彼はオランダ帰還後、宮殿で王子と宣言され、2年後にはブリュッセルで、オランダの王であるウィレム1世として就任しました。

宮殿はというと、ナポレオン皇帝が敗北とともにアムステルダム市に返還されました。
アムステルダム市議会はウィレム1世に宮殿を使用するように提案しましたが、ウィレム1世は年に数回利用する程度でした。
1934年、アムステルダム市が宮殿を王宮として、オランダ国家に売却し、現在に至っています。
王宮と言っても、ここには国王は住んでおられません。
アムステルダムの王宮は公式行事のみに使用されています。そのため、公式行事以外の日は博物館として開放され、建物内を見学することができます。

建物の造りは市庁舎として建てられているため、様々な執務室(税務省、総務庁など)があり、ルイ・ボナパルト王時代の家具や装飾もあり、非常にユニークな造りだと思いますし、かつてないリノベーションでしょう。
日本で言ったら市役所を皇居にしたって感じですかね。
現在も王宮として年に数回使っているのですから、保管状態は非常に良いです。

波乱万丈な人生を歩んできた王宮を一目見る価値はあるのではないでしょうか。

 

Koninklijk Paleis Amsterdam概要(2017年8月現在)
10〜17時(祝日やイベント等で休館することがあります。)
€10.00
ミュージアムカード可
Dam, 1012 HG Amsterdam, オランダ
Koninklijk Paleis Amsterdam


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2017年8月1日 特集”アムステルダム建築史”

2017年9月1日 特集”アムス観光 ダム広場”

2017年10月1日 特集”アムス観光 ミュージアムプレイン”

2017年12月1日 特集”オランダのクリスマス”